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「ただいまー」

 ドアが開かれる金属音のすぐあと、帰宅を告げる声が響いた。
 焔は玄関まで駆け寄る。

「おかえり」

 首に両腕を回して抱きついた。肩口に顔をうずめる。

「こら、靴が脱ぎにくいだろうが」

 ?がそうと頭に手を置かれるが、焔は構わず肩に甘く歯を立てた。
 そこにあるは、汗の代わりに女の香水。

 悟浄が舌打ちする音が、耳につく。

「セックスならあとでしてやるから、さきに飯にしてくんね?」

 だからここで盛るなと、その声に焔はきつく悟浄の服を掴んだ。

 ――いままでどこにいたんだ。
 聞く勇気もなく、

 ――浮気をしないでくれ。
 命令する度胸もない。

 またいつか、以前のように紅い眸が自分を捉えてくれるのを待つのみだ。

「ごじょ……」
 あえぐように、名前を呼ぶ。

「甘えるのはあと。今は飯」

 するりと腕の中から抜け、焔は空気を?き抱いた。


 ただ抱きしめて欲しいと願うのは、そんなに贅沢なことなのだろうか。
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