夜中、物音で目が覚めた。
 時間なんか知らないが、きっと十二時を軽く二時間ぐらい過ぎているのだろう。彼が帰ってくるのは、だいたいそんな時間だ。
 感覚で身体を動かす。頭は夢と現を行き来している。そんな自分を分析している自分は、ひどく変な感じだ。

「おかえり」

 寝室の引き戸を開け、相手を確認する前に声をかける。二人で暮らしているのだから、よほどのことがない限り、相手を間違えるはずもない。

「あぁ」

 悟浄は、おれが作った晩飯を食べていた。
 おれが朝早い仕事に対し、悟浄は人より六時間ぐらいずれている。昼ごろ始まって夜中に終わる仕事。だから平日はほとんど会えない。こうしておれが自力で起きるか、悟浄に起こしてもらうかしてくれないと。気を遣ってくれているから、後者は滅多にありえないが。

 てくてくと悟浄の隣まで歩き、ソファーのスペースを半分もらった。そのまま悟浄にしだれかかる。

「ん?」

 焼きそばを頬張ったまま視線がこちらにむけられた。頭を完全に預けているくせに、なぜかそんなことが判った。一緒に過ごしている時間が長いからだろうか。

「最近会話できなくて寂しい」
「ごめんな。休日しっかり相手してやるから」
「休日だけで間に合わすな」

 苦笑した雰囲気が伝わった。どうしようもないことだから困っているのだろうが、妥協はしてやらない。好きだから。

「悪いな」

 髪を挟んで頭に口づけが落とされた。ソースがつくとか的はずれなことが過ぎりながらも、やっぱりうれしい。
 抱きしめる腕に、力をこめる。

「ちゃんとベッドに戻しておけよ」
「なにを?」
「おれを」

 笑った雰囲気が降り、くしゃっと頭をなでられた。

 やっぱり、絶対に手放したくない。
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