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「悟浄、お土産もらった」
「誰に」
「八戒」

 一人で散歩に行ってくるとしばらく家を空けていた焔は、八戒の家まで遊びに行っていたらしい。またいつものごとく、手には大量の菓子が詰め込まれてる袋を持っていた。
 そして、小さな麻袋も一つ。
 焔はその土産の品がそうとう嬉しかったのか、持ち上げているしっぽをゆらゆら振っていた。
 部屋にあがるなり、珍しく菓子に手をつけず麻袋を開封している。

「なんだそれ」
「タマゴのなる木!」
「はぁ?」

 焔はなにを吹き込まれたのか、絵本の世界にいまだ精神を置いているようだ。
 新聞紙の上で袋を開き、土を移している。

「見せてみろ」
「うん」

 付属の説明書を取り上げるが、焔は手元のことで精一杯のようだ。こちらのことなど一瞥すらしない。
 大人しくていいかと説明書の写真を見た瞬間、我が目を疑った。二十数年生きてきたが、自分の目を疑ったことなんか初めてだ。
 確かに、植物にタマゴがなっているのだ。それもすずなりに。
 CG合成かなにかを行っているのかもしれないが、見分けるすべはない。説明書を開いて、内容を確かめる。

(……タマゴナス?)

 説明では、これはタマゴのなる木ではなく、タマゴナスという植物なのだそうだ。少しも紫色はしていないが、とにかくナスらしい。
 確かに、子供が喜びそうな内容である。

「たくさんできたら、八戒がホットケーキつくってくれるって」

 いつの間にか水やりまで終えた焔は、霧吹きを片手に満面の笑みを浮かべている。

「たのしみ」

 焔の期待に満ちた笑顔を前に、訂正するのは俺なのかと、悟浄ははたと気がついた。
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