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赤コートの笑顔を見た瞬間、黒いスーツの袖からポトポトと何かが落ちた。拾い上げるとそれはサッカーボールや金貨の形をしたチョコで、スーツの男は首を傾げ、羨ましそうに見ていた子供に与えた。
赤コートと食事をしているとまた落ちた。パラソルなどやはり子供向けのチョコで、手近なところに与えてやれる相手がおらず、とりあえずポケットにしまった。そんな事が何回かあり、ポケットはすぐ不格好に膨れた。赤コートが落とした宿の鍵を拾おうと屈んだときは、背中から大量のチョコがどさどさと落ち、膝まで埋もれた。呆気に取られながらも脚を引っこ抜いている間に、幸いにも子供の集団がすべてをかっぱらっていった。
仲睦まじ気な老夫婦を見た瞬間も、袖や裾からポトポトと落ち、男は諦めの溜息をついた。
宿の部屋に着くと腰掛けている赤コートの前に立ち、その頭上で両手をスープ皿の形にした。皿の底を開くと、赤や緑や金色など多彩だがすべて心臓の形をしたチョコが滝の如く溢れ落ちた。赤コートの膝を埋め腹を埋め口まで埋め尽くし、小山を築いたところでやっと止まった。黄色いレンズ越しに見上げてくる呆けた眸に、牙を剥いた笑顔を浮かべる。
――HappyValentine!!
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