上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

 仕事帰り、いつもと違う駅で降りて改札まで歩くと、もう焔は約束の場所に立っていた。その焔は悟浄を見つけると、頬を極限にまで緩ませる。
「な?にニヤケてんだよ」
「だって、今日は悟浄の誕生日だから」
 なんでもないことのように言ってのける焔に、悟浄はわざとらしくため息を吐く。
「普通、誕生日って当事者が喜ぶんじゃねぇの?」
「好きな人の祝い事なら、当事者じゃなくても喜ぶぞ」
「さいですか」
「うん」
 普通なら赤面するような焔の発言は、昔は信じておらず少し前は悟浄の方は恥ずかしがっいたが、今はもう慣れてしまった。同僚にふと焔の話をするとのろけるなと笑われるから注意が必要だ。
 だがこの瞬間はそんなことを気づかう必要はない。悟浄は躊躇わずに片手を差し出す。
「じゃ、浮かれてる焔サン、俺のことエスコートして」
「んっ」
 悟浄の行動に焔は一瞬だけ驚くが、すぐに快活に頷くと悟浄の手をとった。そして真っ直ぐに歩いて行く。
「今年の十一月は暖かっくてよかったな」
「ん?」
「手袋をしないで手をつなげる」
「寒くてもしてねぇだろ」
「でも悟浄は嫌がるだろう」
「そりゃあな」
 それは寒いのが嫌というより、寒いのにも関わらず手袋をしないで手をつないでいるバカップルぶりが恥ずかしくて嫌なのだが、焔からすればどちらも同じことなので黙っておくことにした。
「で、今日のご予定は?」
「最初に美味しいご飯を食べて、そのあと悟浄が観たいと行っていた映画を観て、家でイチャついて就寝だ」
「あーあ。明日が休みだったら、もっと堪能できるのにな」
「仕方がない。そのかわり週末に詰め込もう」
 振り向かずに前を進む焔に、ふと悟浄は尋ねる。
「なぁ、俺へのプレゼントはいつ?」
 焔はぴたりと動きを止めると、いたずらを仕込んだ子供のように意地悪な笑みを浮かべて振り向いた。
「それは後のお楽しみだ」
「ふぅん」
 何を企んでいるのか判らないが楽しませてくれるつもりなら大人しくしておこう。だが、と悟浄は歩き出した焔に構わず、その場に留まった。進まない悟浄を不思議そうに焔は見やる。
「悟浄?」
「なら、いまもらえるプレゼントを寄こしてくんねぇ?」
 曖昧な発言に焔は最初は首を傾げていたが、悟浄の表情で意味を悟ったらしい。焔は顔を赤くして唸り声をあげる。
「最近悟浄の中では、おれを甘やかすのが流行っているのか?」
「かもな」
 適当に答えると、焔は目をつむって唇を重ねた。離れがたいのか、そのまましばらく時を止めてからやっと息をついた。そして悟浄の胸元に額を預ける。
「ホテルに行く内容を繰り上げたい」
「メシと映画はずらせないでしょ」
「うん」
 焔は顔を少しだけ持ち上げて、左右異色の瞳で赤いそれを見返す。
「悟浄の誕生日万歳」
「俺も同じことを言えるように頑張って」
「ん。絶対に喜ばせる」
 焔は繋いでいる手を握りしめると、はにかみながら微笑んだ。

 家に返ったら、玄関にIpadが置いてあるんです。焔は半休で仕込んでいたんです。

 Ipadを見るときは、うつ伏せで寝転んでいる焔の上に悟浄は覆いかぶさって一緒に見るんです。最近うちの悟浄はいちゃつこうとする。
スポンサーサイト


コメント

    コメントの投稿

    (コメントの編集・削除時に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)


    トラックバック

    Trackback URL
    Trackbacks


    最近の記事

    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。