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「悟浄、ホワイトデー欲しい」
「あ?」

 雑誌を読んでいた悟浄の膝に、、焔は勝手に膝の上に頭を載せてきた。珍しく、ゴロゴロと甘えてくる。

「ホワイトデーって、なんか貰ったっけ」
「あげたではないか。ちゅーつきチョコ」

 顎に手を当てて悟浄は考えた。
 あったような気もすれば、なかったような気もする。そもそも、よく菓子類を食べる焔のキスは大概甘く、いちいち記憶に残っていない。甘いのは嫌いだから水を飲んでからしろと言っているのだが、本人は甘い自覚がないらしい。
 つらつらと思考が脇道にそれつつあることを悟ったのか、焔が耳をひっぱってきた。

「いてててて」
「ホワイトデー」
「はいはい。で、なに欲しいの?」
「んー……」

 焔は悟浄の手を掴んで考え始めた。本気で考えているのか、視線がぼんやりしている。

「眠いんならベッド行けよ。重ぇんだから」
「チョコがいい」

 人の話を聞けよと思うが、胸中で呟くだけにとどめる。そして悟浄は、あたりを見回した。

「チョコねぇ……ほら」
 なんとか手に届く範囲にお徳用チョコが放置してあり、いくつか手づかみにする。
「ほら」
「愛がない」

 焔は不満げに抗議してくる。要望に応えようと、悟浄は包装ビニールごしにチョコに口づけした。
「ほら」
「チョコにしてどうする」

 再び不満げに口を歪める焔に顔を寄せると、手で制された。
「ん?」
「口移しがいい」
「はいよ」

 包装ビニルを解いて歯で挟み、そこでやっと思い出す。
「あ、バレンタインのときもこーしたんだっけ?」
「やっと思い出したか」
 口を尖らせた焔の額を撫でなだめる。バレンタインのときとは立場が逆になったが、
 悟浄は焔にやっとバレンタインのお返しをした。
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