焔は一人でくつろぐときも、とりあえず悟浄にひっつく。雑誌を読んでいる悟浄の腕の中にむりやり収まってきたときはくつろぎに来たのか構って欲しいのか判らなかったが、どうやら後者だったらしい。子供のような目で見上げてくる。
「悟浄、今度温泉に行こう」
「ゴールデンウィーク終わったばっかりだろ」
「でかけなかった。だから、有給をとって行こう」
 温泉よりも、雑誌に紹介されているバーの方が気になったが、下戸な焔はあまり興味がないだろう。だからといって女を誘ったら焔にバレたときが修羅場だ。さて、誰と行くか。
「なぁ、聞いているか?」
「聞いてる聞いてる」
 意識が雑誌にしか行っていないことが不満らしく、険悪な声色になった焔を頭を視線をそらさずに片手で撫でる。しかしおざなりな態度で機嫌が直るわけがなく、鎖骨のあたりに噛み付くようなキスをされた。
「あっ、見えるところに痕を残すな」
 軽く舌打ちをするが、拗ねている焔は意にも介さない。
「悟浄は痕つけないよな」
「意味ねぇだろ。お前浮気しねぇだろうし、ケンカ強ぇし」
「むぅ」
 珍しく眉間にしわを寄せる焔の首筋に、同じように唇をつけた。焔の身体が軽く強張る。
「ここだと隠せないではないか……」
「最初にやったのはお前だろ」
 仕返しのつもりだったのだが、焔は顔を赤くして痕を片手で隠した。
「うー。でも、ちょっと、その……嬉しい……」
 思わぬ反応に、悟浄は雑誌を閉じた。空いた両腕で抱きしめてやる。
「うわっ」
「温泉行こうな、温泉」
「うん。他のことに気をとられては駄目だからな」
「はいはい」
 軽く口唇を重ねて、焔が落ち着くまであやすように背中を撫でた。
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