風呂上がりの定番と言えば、やっぱりビール。悟浄は腰にタオルを巻いたまま、冷蔵庫の扉を開けた。お決まりの位置にお決まりの本数。そのうちの一本を取りだし扉を閉めると、背中に温かいものがはりついた。
「悟浄遅い」
「普通だろ」
 どこか拗ねたような口調を無視して、悟浄は缶ビールのプルトップに指をかけた。少し力を加えると、小気味良い空気が抜ける音がする。毎日のストレスごと飲み下そうと口を付けた瞬間、腹から色鮮やかな花が咲いた。
「時間、少し過ぎた」
 やはり少し拗ねた口調の焔に、悟浄は笑い声を滲ませる。
「過ぎたんじゃなくて、始まったばかりだろーが」
 焔の手から、花束を受け取る。
 花を愛でる趣味はないが、それでも今は胸が温かくなる。腹の上で握られた拳を、悟浄だ強く包んだ。
「悟浄」
「ん?」
「ありがとう」
「どーいたしまして」
 普通なら、『おめでとう』のところを、焔は始めから『ありがとう』と言い続けていた。
 生きる意味を求めるのは馬鹿らしいと今でも思うが、もう少し、生きていてもいいかとも思う。
「キスしてやるから、一回離れて」
「ん」
 揺るまった腕を抱き寄せ、歳を一つとってから初めてのキスをした。


焔 「悟浄、好きー」
悟浄「知ってる」
焔 「好きー」
悟浄「はいはい。で、DSは?」
焔 「買ってないぞ」
悟浄「……なんで?」
焔 「だって、買ったらおれに構ってくれなくなるではないか」
悟浄「お前もゲームすれば、対戦とかできるじゃねぇか」
焔 「ゲームより、スキンシップだ」

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タイトル、深い意味はないのですが、夏目漱石から。
狙っていなかったのですが、誕生日ってキーワード出てなかったですね。ごじょ誕です。
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