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「お前、ドライヤーなんて使うのか」

 シドが歯を磨こうと洗面所へ入れば、ヴィンセントが女のようにドライヤーで髪を乾かしていた。
 初めて見る光景に、シドは軽く眼を瞠る。

「あぁ、この辺は寒いから、風邪をひきやすい」
「へぇ、お前さんでも、風邪ひくのか」

 ヴィンセントに、人間らしい生理反応を見たことがなかった。くしゃみや咳、あくびすらみたことがない。悪夢云々言っているだけあって、寝ている姿だけは様になっているが、食事をしているシーンですら、違和感のある男だ。

 そんな男から、風邪の話が出てくるなど思わなかったのだ。

「この身体になってから免疫力は上がったが、風邪はひく」
「そっか、オレ様には染すなよ」

 シドは冗談混じりに笑った。
 だがその反応に、人形のように無表情だった男が、ぴたりと動きを止めた。ゆっくりとシドの方を向いて、珍しく驚いた顔をしている。

 なんとなく、不気味だ。

「……なんでぇ?」
 おそるおそる問いかけると、人間のような人形の口から、ぽつりと、言葉がこぼれた。

「あんたも、風邪をひくのか」
「そりゃどういう意味だ」

 心外な発言に、シドは眉根を寄せた。

「あんたは、風邪をひかない人間だと思っていた」
「手前ぇはオレ様をなんだと思っていやがる」
「……いや」

 人形はふたたび、髪を乾かす作業に戻った。
無印旅の途中、まだ恋人になる前。
たぶんこんなんが、うちのシドヴィンそれぞれの第一印象(笑)
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