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「あぢぃー。クーラー入れようぜ」
「電気代かかるからダメだ」

 イスの上で伸びながら、大量の汗を流す悟浄の提案を、焔はカルピスに口付けながら却下した。
 クーラーは電気代を食う上、体調を崩しやすくするのだ。

「なんか、汗かきすぎて、嫌な臭いすんだけど」
「水風呂で流してきたらどうだ?」
「えー、面倒臭い」

 扇風機の風でわずかになびく髪、首筋を伝う汗と、数本だけへばりついた赤い髪に、じわりじわりと欲情が頭をもたげる。
 冬に発情した方が効率がいいのに、何故夏の方が多いのだろう。

「悟浄、キスしたい」
「いま甘そうだからダメ」

 焔はグラスの中を見た。本来なら4倍に薄めて飲むものなのに、3倍にしか薄めていない。確かに甘そうだ。

「でも、したい」
「めっ」

 焔は席を立ち、悟浄の隣に移動した。
 口唇を重ねるだけの、軽いキスをする。

 離れてからやっと、目が合った。
 揺れることのない赤い眸に射抜かれ、ゾクゾクする。

 視線を外さぬまま、悟浄は自分の唇を舐めた。

「やっぱり甘いし」

 焔は悟浄の腕を掴む。

「どうしよう。悟浄のこともっと好きになりそうだ」
「ん?」

「今日より明日の方が好きで、明日より明後日の方がもっと好きで。そうやって毎日悟浄のこと好きになったら、どうしよう」
「いいんでねぇの? 別に」

 焔は困ったように、視線を横へ逃がす。

「でも、容器からあふれ出すかも。濃縮しても、間に合わないかも」
「意味わかんね」

 掴んでいたはずの手が、気がつけば握られ、背中が震えた。
 悟浄の肩口に顔をうずめる。

「セックスしたい」
「暑いし……ってか、暑いし」

 指の一本一本から、心臓の音が聞こえる。

「どうしよう。大好き」
「そか」

 不安になるくらい大好きで、安心できるぐらい愛おしい。
 包み隠さず伝えてしまえ。早鐘の心臓。
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