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 ふと、「透明人間になりたい」と思った。
 身体はもちろん、服や声、足音も透明に。それは透明人間というより、幽霊と表現した方が近いかもしれない。どちらいしろ、悟浄のそばにいるのに、悟浄からは見えない存在になってみたいと思った。

 もしおれがある日突然いなくなったら、悟浄はどうするだろうか。
 きっと周りの人には平静さを装うと思う。その程度でうろたえていると思われるのが嫌だという見栄と、心配をかけたくないという二つのきもちから。でも、知っている人がいないところでは舌打ちをしながら必死に捜してくれたら嬉しい。
 おれはそんな悟浄を、のんびりと眺めている。

 最初は必死に捜してくれた悟浄はやがて、捜すことをやめてしまう。そしてきっとおれがいた場所には、違う人が収まるのだ。
 それはちょっと悲しいけれども、透明人間なのだから仕方がない。透明になる魔法が解けなければ、それはいないも同じなのだから。

 でも、悟浄が諦めてしまうまでに一度でもまたおれに会いたいと思ってくれたら、死ぬほど嬉しい。



「なにニヤけてんだよ」
「ん?」
 悟浄の声にまぶたを持ち開ければ、膝枕をリタイヤした彼が訝しげに見下ろしている。
 そばに悟浄がいることが嬉しくて、自然と笑みが顔にあふれた。
「透明人間になりたいなと、妄想してた」
「ふーん。お前でも女の裸覗き見したいんだ」

 この人のことが、大好き。

「うん。悟浄の裸いっぱい見たい」
「バカ」
 軽く額を小突かれたこの瞬間が愛しくて幸せで、透明人間になるのはもう少し先でいいやと、思った。
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