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 宿屋が決定してから、ヴィンセントはアイテム屋を訪れた。ポーションなどの回復アイテムを仕入れ、また宿屋へ戻る。その単純な道筋の途中、ヴィンセントは何者かに裾を引かれた。
「ん?」
 振り返れば、まだ二桁にも達していない小さな少女がこちらを見上げていた。

「吸血鬼のおにいちゃん、おかしなにもらったの?」
「……お菓子? もらっていないが」

 この少女は誰と勘違いしているのか、ヴィンセントのことを吸血鬼と呼ぶ。誤解を解こうと腰をかがめると、少女はポケットからなにかを取り出し、ヴィンセントに手渡された。
 手の平の上を眺めると、カボチャの絵がパッケージに描かれたチョコが置かれていた。

「……これは?」
 ヴィンセントは首をかしげて問いかけようとすると、少し遠くから名前を呼ぶ声が聞こえた。少女が振り返る。おそらく、彼女の名前なのだろう。
「ママが呼んでる。ばいばい」

 小さな手を振り、少女は母親の元へと駆けていった。ヴィンセントには、チョコと謎だけが残された。

 宿屋へ帰り、同室であるシドへさきほどの出来事を伝えると、シドはこともなげに推論を告げた。

「お前の格好が吸血鬼に見えたんだろ。今日はハロウィンだしな。お菓子がもらえなくて、可哀想って思ったんじゃねぇか?」

 それで、カボチャのパッケージが描かれていたのか。と合点する。

「しかし、私の格好は吸血鬼っぽいだろうか」
「自覚なかったのか?」

 シドの言葉に、ヴィンセントはこくりと頷いた。
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